捨てることから、はじめる
Jun 16, 2026
栄養療法というと、何かを「足す」ことだと思われがちです。サプリメントを追加して、食材を増やして、情報を集めて。でも自分の身体で試してきて、気づいたことがあります。本当に身体が変わる瞬間は、たいてい「引いたとき」に訪れる。
まず捨てることから、始めてみてください。
小麦と乳を抜くと決めたとき、スーパーで買えるものが驚くほど少なくなりました。一度そう決めて棚を見渡すと、これまで見えていなかったものが見えてきます。
お菓子の原材料表示の最初に並ぶ白砂糖。せんべいにまで使われているアミノ酸(調味料)。よかれと思って手に取っていたものの多くが、実は加工された味でできていた。そう気づくと、加工食品のコーナーには、もう用がなくなる。残るのは野菜、肉、魚——それが新鮮かどうか、それだけを見ればいい。
迷わなくなる、ということは、時間と空白が生まれるということです。あれもこれもと選択肢に悩まされることがなくなり、ただ楽になる。
そして、引き算をしていくと、不思議なことが起こります。感覚が、戻ってくるのです。
人工物にずっと晒されていると、気がつかないうちに人工物をもっと欲するようになります。濃い味、強い甘み、わかりやすい刺激。提供する側はもっと売らなければならない。それが資本主義の構造だから、責めることもできない。でも身体が本当に求めているものは、そこにはない。
余分なものを削ぎ落としていくと、これまで気づかなかった繊細な味が、わかるようになります。たとえば塩。日本各地には多様な塩があって、味が違う。以前なら「しょっぱい」の一言で済ませていたものが、いくつもの表情を持って立ち上がってくる。それだけで、十分に豊かだと思えるようになる。情報過多も、自然に流せるようになっていく。
高いものがいいのではない。グルメである必要もない。本物を知ること、その喜びを探求すること——それが、自分だけの栄養療法です。
そして体の細胞は、少しずつ、でもびっくりするほど素直に変わってくれます。「求めていたのは、これ!」と言わんばかりに。
——そうやって食べ物を整理できたら、今度は自分の周りのモノも見渡してみましょう。使っていないもの。高かったから、もったいないからと言って、ずっと眠っているもの。
でも、思い返してみてください。それは、あなたの状態のいいときに選んだものですか。見栄は張っていない?人と比べていない?身体が整っているとき、心が澄んでいるときに選んだものだけが、本当に必要なもの。あとは、全て不要なんです。
捨てると、驚くほど軽くなる。身体も、暮らしも、人生も。
さあ、思い切って!